西国街道とは江戸時代の街道で、京都から西宮まで、大阪を通らずにショートカットして抜ける道です。西宮から先は山陽道に合流して、下関まで続きます。大名行列から一般の人まで、多くの人が行き交った幹線道路です。
もともと人や馬が通る道なので、今の基準からすると広くない道です。そのため、車社会の発展とともに何車線もある現代的な幹線道路が作られ、もとの西国街道は衰退しました。今では西国街道にほぼ沿う形で、国道171号線が京都~神戸間を結んでおり、その先も国道2号線が下関を経て門司まで伸びています。
今回は、こちらのページで配布されている地図を頼りに、西国街道の京都~神戸までを3日間で歩きました✌️

9:36 京都駅 0km
大阪駅から新快速に乗って29分で京都駅に着きます。ここは京都駅の南側です。
北側にはかっこいい駅ビル、京都タワー、観光地へ向かうバスターミナルなどがあります。南側は少し地味かもしれませんが、ホテルなどが建ち並んでいます。
ここはまだ西国街道のエリアではありませんが、ここから歩いて行くことにしましょう✊
駅近くにはイオンモールもあります。ここで旅の飲み物なども調達できます。
ちなみにこの先西国街道はずっと街中で、付近にコンビニがたくさんあるので、飲み物など困ることはないでしょう。
九条油小路交差点を西へ曲がり、国道1号線を進みます。途中、近鉄京都線 東寺駅を抜けて進みます。
9:51 東寺
国道1号線沿いに歩いて行くと、東寺【世界遺産】があります。またの名を教王護国寺ともいいます。
平安京遷都と同時に、平安京の正門にあたる羅城門の東西に東寺と西寺が建立されました。1200年以上の歴史があります。残念ながら西寺は現存しませんが、東寺は昔からの場所にそのまま残っています。
建物は火災で焼失するなどで平安時代のものは現存しませんが、その後再建された古い建物が残っています。有名な五重塔【国宝】は1644年に再建されたものだそうです。
歩道橋から振り返って撮っていますが、この写真を撮影した場所、東寺の南西の京阪国道口交差点が、現代版西国街道とも言える国道171号線の起点です。
西国街道自体の起点はよく分かりませんが、ここ東寺か、羅城門跡のあたりを起点としているようです。
9:59 羅城門跡
国道171号線を西に進むと、羅城門跡があります。ただの公園にぽつんと碑が建っています。
羅城門は平安京の正門とも言える門ですが、割と早く廃れてしまい、980年に暴風雨で倒壊した後は再建されなかったとみられるそうです。記録上は存在は確実と思われるものの、現在に至るまでその遺構は発見されていません。この羅城門跡は、現存する東寺からの距離をもとに、この辺りにあったと推定される場所に碑を立てたとのこと。
このあたりからいよいよ西国街道のルートに突入です!楽しみですね😊
10:07 九条御前交差点
九条御前交差点で、国道171号線と分かれて路地に入ります。ガイドマップでは細い路地が西国街道となっています。
細い路地を進むと、途中、西高瀬川という川を越えます。
このような道を歩いて行きます。この辺りは吉祥院という地名で、南に行くと北野天満宮より早くに創建されたという吉祥院天満宮があります。
10:23 日向地蔵 4.0km
先ほど分かれた国道171号線と吉祥院西ノ茶屋という交差点で出合いますが、さらに路地を進みます。 この辺りに西国街道の旅人向けの茶屋があったことから西ノ茶屋という地名になったとのこと。
ここまで西国街道を示すものが見当たらなかったのですが、路地を進むと新しそうな道標がありました。以下のページによると、2018年に新設された道標だそうです。この道標の後ろにある日向地蔵は1858年に作られたものだとか。
道標の横には愛宕山常夜灯があります。これも1835年の銘があるとのことで、どちらも江戸時代末期のものです。
お地蔵さんとともに、地域の人に大切に守られていることがわかります☺️
愛宕山というのは知らなかったのですが、京都の嵐山のさらに奥の方にある「火伏せの神様」とされる愛宕神社の信仰で、全国的に信仰されていますが京都付近で特によく祀られているそうです。
火事が起きないよう、神様にも見守ってもらっているんですね😌
10:32 桂川 久世橋 4.9km
桂川までやってきました。正面に見えるのが国道171号線の久世橋という橋です。これで対岸に渡ります。
桂川の上流の方を撮ってみました。青空でいい天気です。遠くの山に、五山送り火で有名な「大」の文字が見えます。
11:00 新幹線の高架をくぐる 7.2km
久世橋を渡ってしばらく歩くと、久世殿町交差点で国道171号線と交差します。
さらに歩くと、東海道新幹線の高架をくぐります。
この先、JR京都線 向日町駅の方へ向かうのですが…西国街道がJR京都線の線路で寸断されていて、遠回りをして地下道で反対側に抜けなければなりません。
無駄に遠回りしましたが、地下道入り口にたどり着きました。
銘版を見ると、この地下道は西国架道橋というそうです。西国街道にちなんだ名前でしょうか🤔
この地下道を抜けた辺りから、向日市に入ります。
11:15 向日町駅 8.5km

地下道を抜け、JR京都線の電車が走っているのを横目に歩きます。向日町駅の駅前にはJR駅前ふれあい広場という公園があります。
実はこの駅前広場の辺りは、久々相遺跡という遺跡があるそうです。
案内板によると、
この公園周辺一帯は、長岡京以前は倉庫のような建物が建ち並びぶ役所のような役割を果たした集落が、長岡京廃都後の平安時代は西国街道沿いに栄えた集落であったと考えられています
とのことで、大昔から集落があった遺構が発見された場所のようです。
駅前広場のすぐ横に、JR京都線 向日町駅です。この駅は西側にしか出口がないのですが、橋上駅舎にして東口を新設し、東側の再開発の計画も進んでいるそうです。
橋上駅舎ができれば、西国街道の往来も地下道を回り道しなくていいので、楽になりますね。 大昔からの歴史ある場所ですが、現在もどんどん進化していっています!✨
11:18 寺戸川 8.7km
向日町駅から少し西に進むと、西羽束師川(にしはづかしがわ)の上流の寺戸川という小さな川があります。
西国街道の新しそうな道標も建っています。
寺戸川を渡る深田橋という橋のたもとには、粟生光明寺道と書かれた大きな道標が建っています。 長岡京市にある光明寺への参詣道を表す道標です。
横にある説明板によれば、もとはJR向日町駅の前に建っていたものを移設したそうで、1900年建立との銘があるとのこと。
11:23 東向日駅 9.0km
さらに歩くと、阪急京都線 東向日駅があります。
この駅を越えて少し行ったところに、西国街道の立派な道標が建っています。2016年建立の比較的新しい道標です。
その近くには、築榊講(つきさかこう)常夜燈があります。
説明板によると、築榊講というのはこの付近に江戸時代からある伊勢神宮へのお参りの講(グループ)で、この常夜灯はその築榊講が1842年に建立したものです。昔は鉄道が通るまでは付近は一面水田だったそうで、西国街道の良い目印になっていたそうです。
なんと築榊講は現在も続いているそうで、先ほどの2016年建立の西国街道の道標も、築榊講が建立したものだとか。200年近くもグループが続いているのはすごいですね😳
この付近には他にも大原野神社の道標など古そうなものがいくつも残っています。
11:41 須田家住宅 10.1km
しばらく進むと向日市商店街と書かれたアーチが見えてきます。ここで片道一車線ずつの京都府道67号線という道路に出ます。交通量の多い道路のようで、渋滞していました。 ここには須田家住宅という京都府指定文化財の建物があります。
町家(店舗併設の住宅)形式の建物で、幕末まで醤油の製造販売をしていたそうです。昔ながらの建物を残されていてすごいですね。街道の雰囲気が味わえます☺️
11:50 向日神社 10.4km
商店が並ぶ通りを歩くと、向日神社の鳥居が見えてきました。せっかく来たので、寄り道してお参りすることにしました。
向日神社は社伝では718年創建と伝わっているそうで、平安時代編纂の神社のリスト、延喜式神名帳にも掲載されています。
振り返って撮っていますが、緑に囲まれた広々した長い参道が続きます。緑の中をまっすぐ続く石畳が風情があり、素敵な雰囲気です🥰
こちらが1625年建立の拝殿【登録有形文化財】です。この奥の本殿【重要文化財】は室町時代1418年建立のものだとか。
歴史ある神社で、旅の安全を祈っておきました。
11:58 五辻 10.9km
再び西国街道に戻って旅を続けます。すぐに五辻という交差点に出ます。
ここには、五辻の常夜灯というものが建っています。
説明板によると、1865年に楊谷寺(柳谷観音)へ参拝する千眼講というグループが建立したそうです。
向日町の西国街道は、京都から西山の社寺に参拝する人の往来で賑わっていたそうで、この辺りに道標が多いのも納得ですね😊
五辻からしばらく歩くと、阪急京都線をくぐります。
阪急京都線を越えたところで車道と別れ、石畳の風情ある道になります。
古い建物が残っており、雰囲気のある町並みです。昔からの建物を大切に維持されているのはすごいですね😌
愛宕常夜灯もありました。
12:10 中小路家住宅 11.8km
道の途中に古い民家を使ったカフェがありました。ここは中小路家住宅【登録有形文化財】といい、1848年に建てられたそうです。現在はカフェをはじめ、いろいろなイベントを開催しているそうです。
12:13 一文橋 12.0km
石畳区間が終わり、小畑川という川を渡る橋にやってきました。ここが向日市と長岡京市の境目になります。
この橋ですが、一文橋という名前で、その名の通り、一文(昔のお金の単位)をモチーフにしたオブジェがあります。
説明板によると、この橋は室町時代に架けられた有料の橋だったそうで、大雨のために流されるので、掛け替え費用として通行人から一文を徴収💸したことが橋の名前の由来とのこと。「無一文」な人は通れなかったんですね😅
今は車も通る立派な橋に架け替えられており、もちろん無料で通行できます😆
12:21 馬場1丁目 12.7km
一文橋を渡って長岡京市に入り、しばらく川沿いに進むと、馬場1丁目という交差点に出ます。 ここからまた石畳の区間になります。
12:28 長岡京駅前 13.5km
石畳の道をしばらく歩いて行くと、長岡京駅前の道に出ます。
JR京都線 長岡京駅や、村田製作所の本社ビルが見えます。
この交差点に平和堂のフレンドマートがあります。いい時間になっているので、一休みして昼食🍙を買って食べることにしました。
次回へ続く!